三価クロムメッキ工程には、シングルセル方式とダブルセル方式があります。
特殊な化学品の使用により隔膜、アノードボックスの使用が必要ない。
アノード(+極)としてグラファイトが使用され、一般的メッキ方法と同様にメッキされます。
このプロセスは、実際には室温タイプのものと、昇温タイプのものとに分けられます。
室温タイプのシングルセル方式三価クロムメッキプロセスからは、ピューターあるいはステンレススチール色のような黒味の外観のクロムメッキが得られ、
室温タイプシングルセル方式三価クロムメッキプロセスからは、深みのある金属光沢のクロムメッキが得られます。
【注: −極はカソードといい、メッキされる品物をつけます】
初期のプロセスでは、メッキ浴の安定維持のため、選択性イオン交換膜を用いた隔膜を使用してアノードと
メッキ浴中の三価クロムイオンを隔離する必要がありました。
このため、アノードボックスが使用され、このアノードボックス内にセットされた鉛合金陽極からメッキされます。
アノードボックス液としては希硫酸が使用されます。
| 項目 | 三価クロムメッキ | 六価クロムメッキ | |
|---|---|---|---|
| シングルセル方式 | ダブルセル方式 | ||
| 最大メッキ 厚み(µm) |
25以上 | 0.25 | 100以上 |
| 均一電着性 | ○ | ○ | × |
| つき廻り性 | ○ | ○ | × |
| 折出構造 | マイクロボーラス | マイクロボーラス | ノンマイクロボーラス |
| 色調 | 深味金属色 | 深味金属色 | 青味金属色 |
| クロム濃度(g/L) | 20〜24 | 5〜10 | 75〜150 |
| PH | 2.3〜3.9 | 3.3〜3.9 | 1以下 |
| 陰極電流密度 (A/cm2) |
5〜20 | 4〜15 | 10〜30 |
| 温度(℃) | 21〜49 | 21〜54 | 35〜50 |
| 攪拌 | 空気攪拌 | 空気攪拌 | − |
| アノード | グラファイト | 鉛−錫合金 | 鉛−錫合金 |
| メッキ速度 (µm/min) |
0.2 | 0.1 | 0.1 |
| 後処理 | 必要 | 必要 | 不要 |
| 排水処理 | 容易 | 容易 | 普通 |
| 安全性 | ニッケルメッキ 同様に安全 |
ニッケルメッキ 同様に安全 |
危険 |
| ミスト | ほとんど削除される | ほとんど削除される | 多量 |
| におい | ほとんど削除される | ほとんど削除される | 強い |
| 不純物除去 | 容易 | 容易 | 難しい |
三価クロムめっきは六価クロムめっきに対して、作業性、安全性、環境問題に関して、大きな優位性があるものの、化学品コスト面には短所があります。
米国では既にEPAの規制に先行して取り入れている所では、六価クロムめっきをあきらめ三価クロムめっきに転換してる所も多くあります。色合いでは、特長ある深みの色調ともてはやされたり、逆に付き廻りがよいので、六価クロムめっきでは付き廻らない低電流密度部分の耐蝕性の向上が長所となっています。
また、近年日本においても、環境問題に対する関心の高まりから、グリーン調達、グリーン購入ということで、有害物質である六価クロムを使った製品や部品は購入しないという会社も出て来ています。
装飾六価クロムめっきは耐蝕性がよく、変色し難いことから、ニッケルめっき上に施し、 自動車、電気器具、ディスプレイ、日用品、雑貨などの最終仕上げめっきとして、あらゆる産業に利用されています。
近年クロムを使用しない代替技術の開発も盛んに試みられており、実用化もかなり進んでいます。 代表的なものに、Sn/Co(錫−コバルト)、Sn/Ni(錫−ニッケル)、Ni/W(ニッケル−タングステン)、Co/W(コバルト−タングステン)などが上げられます。 しかし、六価クロムめっきの被膜特性、量産性、コスト、操作、浴管理の容易さなどの、全ての特長を満たす代替技術は見当たりません。
現状では、三価クロムめっきは、六価クロムめっきに比較して、多少のコストがかかるものの、 安全性、均一の電着性、つき廻り性のよさ、ミストの少量性、排水処理の容易さ、不純物除去の容易さなど、 六価クロムめっきの代替技術としての最有力候補に上げられます。
当社ではこの三価クロムめっきを早くから導入し、人にも環境にも優しい企業を目指して努力を重ねています。
6価および3価クロムメッキの各種試験結果表(塩水噴霧試験(SST)、大気暴露試験)を、こちらよりダウンロードできます。
「3価クロムメッキ」や「3価クロメート」をご検討中の方、お見積りの依頼をしたい方は、こちらよりお問い合わせください。 特に、実物見本が必要な方は、「3価クロムメッキ」の強度や光沢を確認できる試作品・サンプル品を製作します。料金等はお問い合わせください。