2008年4月24日
ローム株式会社
(コード番号6963)
耐破壊性の大幅な改善により信頼性を大幅に向上!
ロームと日産自動車が新構造SiC ダイオードを共同開発!
ローム株式会社(本社:京都市)はこのほど、日産自動車株式会社(本社:東京都)と共同で、大幅な高信頼性を実現した新構造SiCダイオードを開発いたしました。今回開発したSiCダイオードは、ロームの高信頼性デバイス開発技術と、日産自動車が新たに開発した新構造HJD(ヘテロジャンクションダイオード)を融合したもので、従来に比べてアバランシェ耐量を約10倍に改善、耐破壊性の大幅(約10倍)な向上を実現しました。
近年、急速に普及している電気自動車(HEV、FCV、EV)などのインバータ用途で高耐圧、大電流容量のダイオードが求められていますが、現在主流となっているSi(シリコン)ダイオードでは、オン抵抗が5mΩcm2〜10mΩcm2 と大きく、電力ロスが発生することに加えて、その電力ロスに伴う放熱対策が必要となっていました。SiCを用いたデバイスは、高耐圧化が可能なだけでなくオン抵抗が1mΩcm2 以下と電力効率が高いため、省電力化のためのキーデバイスとして期待されていますが、過電圧が印加された場合の耐破壊性を示すアバランシェ耐量がSiと比べて低く、特に低温環境・始動時に電圧ノイズが発生しやすい自動車用インバータ等での応用に対して課題のひとつとなっていました。
今回開発した新技術は、日産自動車が開発した新構造のHJDを使って終端構造などにさらに改善を加えて、従来のSiCダイオードと比較してアバランシェ耐量を約10倍に改善、現在使用されているシリコンのダイオードをも上回る高い信頼性を実現し、チップ特性は5mm□、900V耐圧、0.85mΩcm2 を達成しました。これにより自動車用インバータ回路において、高信頼性SiCダイオードの採用が可能になり、インバータ回路のエネルギー効率を約20%改善、また放熱板などの冷却装置を簡素化することによるインバータシステムの大幅な小型・軽量化も可能と考えています。
ロームでは独自に開発を進めているハイパワー用SBD・MOSFET と併せて、HJD のエンジニアリングサンプルを2年前から出荷し、実用化に向けて改善を進めてまいりました。この技術は、家電・産業機器・送電など電力変換デバイスを必要とする広い分野で効率の向上に貢献可能で、ロームでは環境型エコデバイスとして幅広い分野への応用展開を行なっていきたいと考えています。
以上
【用語説明】
・ ヘテロジャンクション
ヘテロ接合。二つの異なる物質を急峻な界面で接合したもの、あるいはその境界部分をいう。今回は、ポリシリコンとSiC のヘテロジャンクション。
・ アバランシェ耐量
半導体接合部に大きな逆降伏バイアスをかけたときに電界降伏電流が流れる現象の一つにアバランシェ降伏がある。この降伏現象時に素子が吸収できるエネルギー量。
・ インバータ
インバータとは、直流電力から交流電力を電気的に生成する(変換する)電源回路、またはその回路を持つ電力変換装置のことである。制御装置と組み合わせることなどにより、省エネルギー効果をもたらすことも出来、近年、利用分野が拡大している。
・ オン抵抗
デバイスがオン時の抵抗。低いほど定常損失が小さくなる。
・ EV
Electric Vehicle 電気自動車。EV とは、電力により推進する自動車。二次電池(まれに一次電池)を電力源とし、外部からの充電または電池交換により走行用の電力を得る自動車。
・ HEV
Hybrid Electric Vehicle ハイブリッドカーとは、内燃機関と電動機を組み合わせた動力源をもち、状況に応じて単独、あるいは複数と、動力源を変えて走行する自動車のこと。ハイブリッドカーは総合効率が電気自動車や燃料電池自動車と同程度であり、環境負荷の低い実用車として注目されている。
・ FCV
Fuel Cell Vehicle。燃料電池車。燃料電池は、電気化学反応によって電力を取り出す装置(化学電池)のひとつである。水素などの燃料と酸素などの酸化剤を供給し続けることで継続的に電力を取り出すことができ、発電効率が高く、騒音や振動も少ない。この燃料電池を動力源とする電気自動車を燃料電池車という。
・ SBD
ショットキーバリアダイオード。金属と半導体を接触させたときにできる障壁をショットキーバリアと言い、この障壁を用いた整流素子をショットキーバリアダイオードという。
図1.HJD 順方向特性 |
図2.HJD・SBD アバランシェ耐量比較
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図3.5mm□HJD 外観
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図4.パッケージ写真(TO220)
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(a) HJD 模式図 | 
(b) SBD 模式図 |
図5.HJD・SBD 構造比較
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