製造工程でのエネルギー効率化
プラント運転管理者や計装エンジニアにとって、プロセス制御や運転効率の向上は昔から重要な目標です。近年、ユーティリティ設備の運用コストの上昇と環境配慮の広がりから、プラントのエネルギー削減にも関心が集まっています。
プラント作業員は、安全性、品質、信頼性、稼働時間を維持しながら、効果的なエネルギー削減方法を模索しています。
エネルギー節減により運転コストが削減できますが、作業員は実際にどれほどのエネルギーが消費されているか把握しているのでしょうか?
適切な計装を導入し、エネルギー管理計画を実施することで、これらの課題を解決できます。
ユーティリティ設備のデータ分析によるエネルギー効率の改善
エネルギーの管理と最適化により、産業全体でエネルギー削減が可能になり、より持続可能な運用が実現できます。
持続可能な運用の重要性
世界的に見て、ユーティリティ設備の運用改善は共通の課題です。不安定な世界情勢やリソースの調達難、高騰するエネルギー価格などが、持続可能な運用の重要性を一層高めています。
電気、水、ガスなどのTier1エネルギーと、Tier1を使用してユーティリティ設備で製造される蒸気、圧縮空気、熱などのTier2は、工場内のあらゆる設備に動力を供給しています。
これらのリソースの効率的な利用が、持続可能性と収益性を確保するための鍵となります。
ユーティリティ設備の監視により、
エネルギー消費量を5~15%削減できます
しかし、これを実現するには、適切なエネルギーパフォーマンス指標(EnPI)を確立して、プロセスの運転を適切に調整する必要があります。
ユーティリティ設備の運用改善で効率性向上
下記のようなユーティリティ設備の運用改善で、エネルギー消費量を削減。
エネルギー効率化に成功したお客様の事例
ある設備で、断熱不良、スチームトラップの故障、圧力と温度の変化により、配管内の蒸気が結露して湿り蒸気が発生し、エネルギーの伝達効率が低下し、結露と栓流による危険なウォーターハンマが発生しました。
これらの問題に対処するために、この設備ではインフラを改良し、さらに蒸気システム全体に多変数渦流量計を設置して、問題が発生する前に検出できるようにしました。
成功事例のダウンロード
工場全体にわたる改善分野
蒸気の消費量からボイラー効率向上まで、ユーティリティ設備のプロセスにはコストを削減できる多くの選択肢があります。
1ユーティリティ設備における蒸気の消費と分配の改善
蒸気プロセスの最適化は、蒸気の品質測定とその継続的な監視から始まります。
■蒸気利用と安全性:ボイラー管理とフィード水
蒸気は、さまざまな産業で熱の伝達に使われます。その生成から分配、利用までの全過程で、安全性が厳しく求められます。
高温高圧の環境は安全上のリスクがあるため、ボイラーの運転水準を正確に管理し、ウォーターハンマの発生を防止することが重要です。さらに、高品質のフィード水の供給も重要な要素となります。
■蒸気の効率活用:エネルギー効率の監視
蒸気は、結露時に潜在エネルギーがプロセスに伝わるため、蒸気の乾き度が極めて重要になります。蒸気が完全に乾燥しているとエネルギー効率が最適化されますが、水分を含んでいると浪費や経済的損失が発生します。そのため、蒸気の効率的な利用が重要です。
また、ボイラーや熱交換器などのエネルギー効率を監視し、ISO 50001やISO 14001などの規格を遵守し、非効率なプロセスを改善する必要があります。
2ボイラー効率の最適化によるエネルギー削減
ボイラー効率の改善は、蒸気品質パラメータの計測とリアルタイムのデータ分析から始まります。
■ユーティリティのエネルギー消費量を最適化するには、
まず何から始めればよいのでしょうか?
自社の工場でどれだけのエネルギーを使っているかご存知ですか? エネルギーを使うプロセスを理解していないと、リソースの無駄や生産効率の低下につながります。
エネルギー削減のためには、様々なユーティリティや用途を考慮する必要があり、まずはボイラーの効率や蒸気の品質などから見直すことが重要です。
■蒸気品質はシステム全体の安全性に影響を与えます
エネルギー効率向上の課題は、多くの不確定要素が影響を与えることです。問題の発生箇所を特定し、全体の蒸気消費量を計るには、計測機器が必要です。
例えば、蒸気の乾き度の監視はボイラーの効率改善に欠かせません。乾き度が90%なら、エネルギーの10%が失われています。また、従来の流量計では誤差が生じやすく、5~8%の誤差があります。
適切な計測機器や高度な流量計を使えば、プラントオペレーターはエネルギー消費量やボイラーの効率を監視できます。
3圧縮空気システムのエネルギー削減
エネルギー損失と漏れを大幅に削減
■圧縮空気システムにおける省エネ可能な領域の特定
様々な産業で使用される圧縮空気の生成には、最大で電力の10%が使われますが、その95%がプロセスの排熱として失われます。
さらに、一部の圧縮空気は供給網の漏れによって失われています。
にもかかわらず、圧縮空気システムの非効率による経済的損失は軽視されてきました。
■圧縮空気システムの効率化
エネルギー管理ソリューションの導入により、この損失を減らし、圧縮空気システムの改善点や省エネの可能性を見つけ出したり、コンプレッサのエネルギー消費量を常に監視することもできます。
以下を実施することより、エアコンプレッサシステムの効率を改善できます。
- 圧縮空気の漏れの最少化とフィルタの監視
- コンプレッサを周囲温度の最も低い場所に配置
- コンプレッサの排熱活用
- オペレーションに必要な圧縮空気システムの最適化
- ダウンタイム中のコンプレッサの稼働削減
- コンプレッサ効率の継続的監視によるメンテナンス周期の最適化
Endress+Hauserのエネルギー管理ソリューションの採用で圧縮空気システムの改善点やエネルギー削減の潜在性を把握できます。各コンプレッサの個別の性能に基づいてエネルギー消費量を監視できます。
4水の加熱/冷却設備の運用効率の計測
加熱/冷却ユーティリティの改善および最適化
■プロセスおよび運転の最適化
加熱・冷却システムは工場の運用に不可欠な装置です。
増設や法規制の厳格化など、運転管理者の課題がありますが、スマートなエネルギー管理ソリューションを導入することで、プロセスの最適化や効率化が可能になります。
■加熱システムのプロセス改善でコスト削減
一般的に、ボイラーや加熱炉ではエネルギーの損失が大きいため、エネルギー効率の計測により、エネルギーの損失を回避して最大55%の削減が可能です。
燃料消費、燃焼用空気、燃焼排ガス温度、熱エネルギーの伝送速度などを監視することで、以下を実現できます。
- エネルギー損失(バーナーの無負荷運転や部分負荷運転など)の特定と定量化
- ボイラー効率およびエネルギー消費の評価と最適化
- メンテナンスコストとダウンタイムの最小化
- 改善策(燃焼用空気の予熱など)の定量化
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