謹賀新年、ちょっと遅いかな。
毎年、計量記念日(11月1日)に各地で開催される「計量ひろば」にて、ある高齢男性から、質問を受けた。
今まで、家に付いていた円盤がグルグルと回る電気計器の原理はわかるが、中身が見えないこの新たな電気計器(スマートメーター)の原理について教えてほしいと。
この中身がわからないロボットのような顔をしたグレー色の怪しい物体、いつの間にか人の家に取り付けられ、何やら動いている。しかも通信をしているらしいときた。恐らく、国家権力によって個人情報を勝手に抜き取る怖い監視装置のようにしか見えなかったのであろう(^_^;)。
しかし、説明ができない。
この男性は、“円盤が回る電気計器の原理はわかる”と言った。単純に電気(電力)を機械的な力に変えてグルグルと円盤が回る。この電気計器の円盤が目に見える状態だから、わかると判断したのであろう。
さて、ロボットのような新たな電気計器だがスマートメーターと呼ばれ、最近、近所のあちらこちらにと目に留まるようになってきた。しかし、メーターの動きが目に見えない。動きが見えないなら、ガス・水道メーターのように隠れていればいいのだが、そう言うわけでもないから気になるのだろう。中身は電子回路の半導体(AD変換器や乗算IC等)だが、こんなのを見せても、わかるわけがない、かと言って。電圧(V)、電流(I)と言った用語を持ち出して中にある半導体ICが計算し計量(乗算:W=VIcosθ)していると話しても理解してもらえるかどうか。もしかしたら、計器を“計算機”と誤解するだけかも知れない。
この時、ふと、頭の中で、
黒電話(回転ダイヤル式電話機)の原理(ダイヤルを回すことによりダイヤルパルス信号を発生)はなんとなくわかるが、スマートフォンの原理を教えてほしいと聞かれているのと同じような感覚なのかなと思った。
そして、変わりゆく世代。
最初から、黒電話の存在を知らず、電話と言えばスマートフォンしか知らない世代であったら、どうだろうか。詳細な原理はわからずとも、当たり前のように受け入れ理解するのであろうと思った。
私に、計測の世界では、目に見える状態でないと測定はできないと教わった。目に見えるようにできる方法(技術・原理)があれば測定器の開発へ進められる。見えるようにするまでが大変だ。
しかし、今、この目に見えないもの(半導体という量子力学の世界)は、ごく当たり前のように身近な製品の中に存在する。
だが、一般的な生活の中では、専門家でもなければ、測定原理まで理解する必要はないのかも知れない(見えないものを分かり易く説明するのは難しい)。
新時代の計量の世界は、この当たり前の各種半導体センサーの原理から始まり、新たな計量制度(AI、IOT等のデジタル技術に対応した柔軟な制度)へと進んでいくのであろう。
【今年も、オープン・イノベーションで切り拓く新事業創出を目指しています】
これからの電力業界の環境変化に対し、新たな課題に取り組み、多種多様な企業と共創することによって、解決できるよう取り組んでまいります。お客様からのご意見・ご相談・お問い合わせを積極的に受け付けております。お気軽にご相談ください。
(事業開発室)
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