解析センターの藤本です。HALTのコラムの3回目で、前回の事例紹介の続きとなります。
Ⅲ)HALTで評価してきたもの2
③電気接続部の信頼性評価
電気製品、自動車、住宅など電気を使う製品や場所には必ず、プリント基板などから信号
や電力をセンサー、加熱、動力部などに伝えるための電気的な接続部が存在します。
具体的な電気接続部には、コネクタ、ファストン端子、カシメ部、はんだ付け部などなあ
り、もしこの部分で接続の不具合が発生した場合に、電流が多く流れている部分では、最悪
発煙や発火の可能性が考えられます。信号線では危険な症状は発生し難いですが、製品の動
作不具合によるクレームに繋がる可能性があります。
電気的な接続部で接続不良が発生する原因の1つに、微摺動摩耗により接触部の電気抵抗
の上昇から絶縁状態に至るケースがあります。
微摺動摩耗により発生した高抵抗部(黒変色部)
微摺動摩耗により抵抗上昇は、接触している2つの金属が数μmオーダーで相互に繰返
し摺動することで、最終的接触部に絶縁性の酸化物が形成されます。微摺動は振動のある
場での使用する機器はもちろん、温度変化の大きい場所でも温度差によって数μmオーダ
ーの微摺動が発生する場合があります。
HALTの6軸ランダム振動と温度変化を組み合わせることで、従来試験では数十日が
必要又は検出不能であった接触不良が、1日以内の短期間で検出できました。金メッキを
施したコネクタでも、最近の金価格の高騰からメッキ厚みが薄くなる傾向になっており、
機械的に動きやすい要素があると、微摺動摩耗により金メッキ層が削れ、下地金属による
抵抗上昇が起るこも考えられます。
微摺動摩耗により発生する不具合の検出はHALTの最も得意とする評価の1つです。
コネクタ ファストン端子
④水や油を使用する部品の封止部材の評価
水を潤滑油を使用する部品について、シール部からの漏れがの有無をOリングの材料を変
更して比較した。下図のように評価対象のポンプをHALTのチャンバー内に設置し、チャ
ンバーの外に水槽を置いて、水を循環させました。
試験状態 材質の異なるOリング
HALTの結果、一方のOリングで水漏れが発生したので、発生しなかった材料のOリン
グが採用となりました。
以上、事例の紹介はこれで終わりとなります。他にも試験を行った事例はありますので、HALTで評価してみたい製品や部品がございましたら、遠慮なくお問合せ下さい。
次回は最後になりますが、HALTの試験規格について書く予定です。
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