■概 要
FIBはSEM(電子顕微鏡)と類似の構造で、一次ビームを電子ビームではなくGaイオンとしたもので、試料の断面加工・観察や薄片化加工に用いられます。
最近ではSEM・S/TEMとFIBが同一チャンパーで一体となったものもありますが、ここではS/TEMの前処理加工として用いる場合について説明致します。
S/TEM分析のためには試料の薄片加工が必須となります。研磨やArイオンビームなどはミクロンレベルの特定領域を加工出来ず、微量領域での不良解析には適しません。FIBはナノオーダー加工が可能であるため、S/TEM前処理として多用されています。
注意点としては加工時に微粒子化した試料の一部が観察面に再付着し、像品質を低下させるリデポの問題があり適切な処置が必要なことです。FIB加工後の試料は数十μm程度の大きさで、メッシュにて移動しSIM、SEMやS/TEM観察されます。
■FIB特長
1.微小領域の加工が可能
機械研磨やCP加工で正確に狙うことができないnm~μmの位置を正確に狙って加工が可能です。
2.大電流FIBカラム
イオンビームの最大電流値が60nAであり、加工時間が短縮できる。その為、100μm以上の観察用試料の断面作製が可能です。
3.2種類の加工モードが可能
ラピッドモード、ミルモードの2種類の加工を目的に応じて選択できます。
4.デポジション
カーボン、タングステン、プラチナの3モードのデポジションが可能です。
5.観察モード
SIM(Scanning Ion Microscope)により、鮮明な加工面の観察が可能です。SEMに比べ、最表層の観察(5nmまで)が可能であり、SEMでは分かりにくい金属(Al,Niなど)の結晶状態をより分かり易く観察できます。
6.低加速電圧加工
FIB加工時のGaイオン注入層の除去の為に低加速電圧(1kV~)で表面を加工し、Gaの注入層を薄くすることができます。
■FIB原理
FIB(Focused Ion Beam)は、Ga液体金属源から引き出し電極の電界によりGa+イオンを数nmに絞り、対象試料表面に走査させることによって微細加工を行うものです。
また、Ionビームによる観察(SIM観察)を行うことができます。
■FIB設備紹介
加速電圧:1~30kV
倍率:×60(視野探し)、×200~300,000
像分解能:5nm(30kV時)
最大ビーム電流:60nA(30kV時)
可動絞り:12段階(モータ駆動)
イオンビーム加工形状:短形、ライン、スポット
■FIB用途
・ICチップ等の薄膜材料の断面構造解析
・めっき層薄膜の断面試料作製、S/TEMによる分析
・金属の結晶観察(SIM観察)
・配線加工(短絡、断線)
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