■概要
雰囲気中のガス成分の分析のご要望は多々ありますが、対象となるガス成分の濃度が薄く、そのままでは分析することは困難です。
従来では「パッシブチューブ」を用いて、雰囲気ガスを吸着管にサンプリングした後に、吸着剤に付着させたガス成分を二硫化炭素で回収し、GC/MS分析をする方法が取られてきました。
この方法では、
・二硫化炭素に溶解するガスでないと分析できないこと
・採取したガスを二硫化炭素で希釈するため、ガス濃度が薄いと検出できない
という欠点がありました。
今回、導入したTenaxチューブを用いたTD-GC/MS分析では、上記の欠点が改善され、より感度の高い測定が可能となりました。
■装置仕様
・装置名:島津製作所製
TD-GC/MS TD部: TD-30 GC/MS部: GCMS-QP2020NX
・TD加熱温度:350℃
・常用使用カラム:Agilent社製 DB-1 0.25mm ×60 m
・常用使用Tenaxチューブ:GLサイエンス社製 Tenax TA60/80 150M
■分析項目
・捕集したガス成分の分析
・定量分析も可能(D8トルエン換算)
■分析の流れ
前処理済みのキャップをしたTenaxチューブをアルミラミジップに入れてお送りします。
測定したい雰囲気中にキャップを外したTenaxチューブを静置させてください※。
静置後、キャップをしたTenaxチューブをアルミラミジップに入れて弊社に返送ください。
返送されてきたTenaxチューブを直ちに分析し、雰囲気中のガス成分の定性・定量分析をします。
※本来は吸引機で一定体積や一定時間を吸引して使用するものですが、静置でも十分にガス吸着性が発揮されることが確認できています。
■測定例
実験室内のガス成分分析
普段、化学処理等に使用している実験室に対してガスを捕集し、分析を実施しました。
【捕集方法】
下記捕集管を24時間静置させて、その後、各GC/MSにて分析を実施しました。
・パッシブチューブ
・Tenaxチューブ
【Tenaxチューブの方が従来のパッシブチューブよりも検出感度が高い理由】
従来法であるパッシブチューブを用いた方法では、採取したガスを二硫化炭素で回収するため、ガス成分を二硫化炭素で希釈することになります。さらにガスを回収した溶液の一部のみが装置に導入されることとなり、検出感度の面で不利になります。
一方でTenaxチューブを用いたTD-GC/MS法では、回収したガスを加熱によって全量を追い出し、追い出されたガスを一度冷却部で集めて濃縮したものを分析するため、装置に導入される回収ガス量が多く、検出感度の面で有利になります。
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