EMCに関連したさまざまな技術情報をテクニカルノートとして、順次掲載していきます。設計・開発に携わる方以外にも、多くの皆様にご覧いただき何かの参考になれば幸いです。
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第四回概要:ISO 11452-2に従って行うイミュニティ試験はALSE法と呼ばれ、電波暗室の中で電磁波を直接EUTに印加する試験です。Ed. 3.0、9.1 Generalでは「水平偏波」と「垂直偏波」で印加する電界の周波数帯が異なります。なぜ偏波で印加する周波数帯域が異なる規定となっているのか、その理由について考察していきます。
なぜISO 11452-2水平偏波の印加が400 MHzから行われるのか?
1. はじめに
ISO 11452-2に従って行うイミュニティ試験はALSE法と呼ばれ、電波暗室の中で電磁波を直接EUTに印加する試験です。アンテナから照射される電磁波は直線偏波であるため、偏波の向きを変える必要があります。通常、地面に対して垂直な偏波と水平な偏波の2つの偏波の電波をグラウンドプレーン(Ground Plane: GP)の上に設置したEUTに照射します。
ISO 11452-2 Ed. 3.0、9.1 Generalでは以下の内容が規定されており、「水平偏波」と「垂直偏波」で印加する電界の周波数帯が異なります。
“Horizontal polarization measurements shall be performed from 400 MHz to 18 GHz.
Vertical polarization measurements shall be performed from 80 MHz to 18 GHz.”
(水平偏波の測定は400 MHz ~ 18 GHz、垂直偏波の測定は80 MHz ~ 18 GHzの周波数範囲で計測すること)
ここでなぜ偏波で印加する周波数帯域が異なる規定となっているのでしょうか?
本ノートではその理由について考察します。
2. ISO 11452-2の校正配置
9.3.3 Field calibrationでは校正に使用する電界プローブの位置を下記の様に規定しています。
“Place the electrical phase center of the field probe (150 ± 10) mm above the ground plane and at a distance of (100 ± 10) mm from the front edge of the ground plane.”
(電界プローブの電気位相中心を、GPの上方 (150 ± 10) mm、前端から (100 ± 10) mm の距離に配置すること)
図 1はこの規定を図示したものです。
図 1 校正時の測定機の配置
車載機器試験ではEUTとなるケーブルを高さ900mmの金属テーブル(GP)上150 mmの高さに配置します。このとき、GPの表面での電界強度は照射された電波の偏波(水平偏波、垂直偏波)により、大きく異なります。
3. GPの反射・散乱による電磁波の合成
EUTに照射される妨害波で試験時の電界強度は電界センサを用いて校正します。この電界センサの位置を「校正点」と呼ぶことにします。図2は照射電波が校正点に到達するイメージを示したものです。アンテナから放射された電波は2つのルート(直接波とGPによる反射・散乱波)をとり、校正点ではこの二つの電波が合成されものとなります。
図 2 電磁波の到来ルート
実際の電磁波は広がりを持つのでこのよう単純ではありませんが、イメージをつかむため直線で示しました。
© 2023 TOKIN EMC Engineering Co., Ltd.
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