サービスロボット関連規格の一覧 ~業界別の規格一覧~
近年、様々な施設や家庭、現場でサービスロボットの導入が進んでいます。 これに伴い、製品の安全性や信頼性を客観的に示す基準として、各種試験規格が参照されています。 このページでは、サービスロボットに関連する主要な試験規格についてご紹介しています。
サービスロボット関連規格の一覧表
サービスロボットには、その種類や用途に応じて様々な規格が定められています。まず、多くのロボットに共通して適用される、基本的な規格は以下です。
規格番号 | 規格の名称・概要 | 主な対象・用途 |
---|---|---|
ISO 13482(JIS B 8445/8446) | 生活支援ロボットの安全要求事項 サービスロボットの安全性に関する最も基本的な国際規格。人との物理的なインタラクションにおける安全性を確保するための設計や試験方法を定める。 |
・物を運ぶ、作業を行う移動型ロボット ・身体に装着して動作を補助するロボット ・人を乗せて移動するロボット |
ISO3691-4 | 無人搬送車(AGV)および無人搬送車システム(AMR、AGVS)の安全要求事項 無人産業用トラック(以下「トラック」という)およびそのシステムの安全要件とその検証方法が規定。 |
自律的、無人で移動する機能を持つ全てのロボット(搬送、清掃、案内など) |
ISO 31101(JIS Y 1001) | ロボットサービス安全マネジメントシステム ロボット製品だけでなく、それを用いたサービス全体の安全な運用体制(リスク管理、運用計画、保守など)を構築するための要求事項。 |
ロボットを活用したサービスを提供する事業者(清掃、警備、施設案内など) |
ISO/TS 15066 | 協働ロボットの安全要求事項 元々は産業用ロボット向けだが、人とロボットが防護柵なしで協働作業を行う際の安全方策を規定。接触時の力や圧力の制限値などが参考とされる。 |
人と近接して作業を行う全てのロボット |
業界・用途別の主要規格と関連法規
サービスロボットを開発・製造する過程で、各業界特有の様々なタスクに応じた規格に適合しているか確認が必要です。委託製造においては、委託先の企業がこれらの規格に合わせて製造可能かどうかチェックしておきましょう。
業界分野 | 主な対象ロボット | 関連する主要規格・法規 | 概要 |
---|---|---|---|
介護・リハビリ | 移乗支援ロボット、見守りロボット | ISO 13482 (JIS B 8445/8446)、薬機法 / IEC 60601 | リハビリ機器など医療機器として扱われる場合は、薬機法の規制を受け、医用電気機器の安全規格IEC 60601への適合が求められることがあります。 |
物流/倉庫/配送業界 | AGV(無人搬送車)、AMR(自律走行ロボット)、ピッキングロボット、配送ロボット | ISO 3691-4 (JIS D 6802) | ISO 3691-4のような、「無人産業車両」の安全性に関する規格を準拠する必要がある場合があります。 |
小売/接客業界/警備 | 配膳ロボット、案内・受付ロボット、自立走行警備ロボット | ISO 13482、ISO 31101 (JIS Y 1001)、IEC 62443 | 監視カメラ映像などの機密情報を扱う場合、セキュリティを確保するための規格IEC 62443シリーズへの準拠が必要になる場合があります。 |
清掃衛生関連 | 業務用清掃ロボット、紫外線(UV-C)殺菌ロボット | ISO 13482、IEC 60335シリーズ(電気製品としての安全性)、IEC 62471(ランプやLEDの光生物学的安全性) | 特に漏電や感電に対する保護が必要になる場合、サービスロボット以外の規格準拠が必要となる場合があります。 |
メンテナンス・工場等点検 | 設備点検ロボット、インフラ点検ドローン、救助犬ロボット | ISO 13482、防爆規格 (ATEX, IECExなど)、航空法、ISO/TS 15066 | ガスや粉塵による爆発の危険性があるプラント内で使用する場合、防爆規格への適合が必要となります。 |
規格適合のための主な試験項目
安全性試験
- 電気的安全性: 感電、漏電、発火などの危険性がないかを確認する。また、電磁両立性(EMC)試験により、ロボットが発する電磁波が周辺機器に影響を与えないこと、および周辺からの電磁波で誤動作しないことを評価する。
- 機械的安全性: 人や物体との接触時における衝撃力や圧力を測定する。また、可動部の挟み込みや巻き込みが発生しない構造であることを検証する。ロボット本体の安定性を評価する傾斜試験や転倒試験も含まれる。
- 機能安全: 制御システムの一部に故障が発生しても、危険な状態に遷移しないこと(フェールセーフ)を検証する。ソフトウェアやハードウェアの故障を模擬して評価を行う。
- サイバーセキュリティ: ネットワークを介した第三者による不正操作や、意図しない情報漏洩のリスクを評価する。
性能・信頼性試験
- 移動性能: 段差やスロープの走破能力、自己位置推定の精度、指定経路に対する追従性などを評価する。
- 作業性能: マニピュレータの繰り返し位置決め精度、可搬重量、作業サイクルタイムなどを測定する。
- 信頼性: 所定の条件下で、規定の期間、要求された機能を維持できるかを確認する。長時間の連続稼働試験や、温湿度サイクル試験などの環境試験が含まれる。
規格に関する公式サイト
規格の詳細の確認は、以下のサイトから行えます。本ページは、以下を参考に作成しています。
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