リチウムイオン電池は、他の電池に比べて軽量、高エネルギー密度、長寿命であること
から、電力、エネルギー貯蔵などの用途に広く使用されています。リチウムイオン電池の
リサイクルや保管中に、固体電解質界面(SEI)の膜が分解したり、破損したりすること
で、ガスが発生する場合があります。その結果、電池が膨張し、熱暴走、オフガス、膨張
変形などの安全上のリスクが発生することがあります。これらの電池ガスの組成を理解
することは、電解液の組成を最適化し、これらのリスクを最小化するために極めて重要
です。
ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)は、ガスサンプルの優れた分離効率、保持時
間安定性、質量分析による定性、揮発性/半揮発性物質の検出を実現します。またフーリ
エ変換赤外分光法(FTIR)を用いることで、化合物のフィンガープリントや特徴的な吸
収帯の同定(空間構造の決定)、混合物の特性を把握するための多成分分析を可能にす
ることで、複雑なガス状サンプルの分析を実現します。
GC-MS-FT-IRは、GCの分離性能に加え、MSとFTIRの定量・定性感度を向上させたも
のです。例えば、GC-MSだけでは異性体や同族体など、構造や、イオン断片が類似(ある
いは同じ)する場合、特定のサンプルを正確に識別できません。一方、IRスペクトルは物
質の分子構造に関する情報を豊富に含んでいるため、これらの異性体成分の同定が可能
です。なお、二原子ガスのような赤外不活性物質は、GC-MSで同定が可能です。
当ページでダウンロードできるアプリケーションノートでは、膨張したリチウムイオン電池で発生したガスを、Thermo Scientific™ ISQ™ 7610 GC-MSシステムとThermo Scientific™ Nicolet™ iS50 FTIR で分析しました。このアプローチにより、各手法で個別に行われた観察結果を補足・検証する補完的な結果が得られます。ガスの包括的な組成が得られ、複雑な混合ガスの分析におけるGC-MS-FTIRの組み合わせの有用性が浮き彫りになりました。
是非当アプリケーションノートをダウンロードして詳細をご確認ください。
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