はじめに
世界中で、埋立地は地球温暖化ガスであるメタンの大きな排出源となっています。メタン
による影響を低減するために、埋立地の管理者たちは、当初、この埋立ガス(LFG)を外
で燃やしてCO₂と水蒸気にすることで、このガスを減らしていました。先進的な埋立事業
者たちは、このガスが発電機に電力を送ったり熱源を生み出したりする燃料となる可能
性があると見ていました。さらに、自治体では嫌気性消化装置を使用して、メタンが豊
富なガスを生成する汚水処理施設を建設し始めました。しかし、バイオガス(ADGまた
はLFG)はその発生源により、高い含水率やその他の汚染物質を含んでおり、発電機の
エンジン寿命を短くし、メンテナンスコストを増加させる可能性があるという欠点があ
ります。
バイオガスに含まれている最も害のある汚染物質の1つが、シリコン化合物です。シリ
コンの有機化合物は、有機ケイ素として知られています。特に、シロキサンは最も影響
の大きい有害物質です。シロキサンは、シリコン(silicon)、酸素(oxygen)、炭素、水素
{メタン(methane)}でできており、名前の由来は次のとおりです。
sil(icon) + ox(ygen) + (meth)ane
バイオガス中の有機ケイ素は、洗剤の漂白剤であるホウ素が除去され、ケイ素を含む化
合物に置き換わることで発生します。また、ヘアスプレー、制汗剤、口紅などの市販品で
も、シロキサンの使用が増えてきています。シロキサンを含むバイオガスが燃焼すると、
二酸化ケイ素(SiO2)の堆積物が残り、エンジンオイルの汚染、エンジン部品の損傷、熱
回収システムの管や触媒を詰まらせる可能性があります(図1および図2)。装置の修理
や交換は、直接的な費用だけでなく、装置のダウンタイムによる収入減もあり、大きな負
担となる可能性があります。
ソリューション
これらの問題の解決策は、バイオガスの燃焼前にシロキサンを除去することです。活性
炭や活性グラファイトのような吸着体を使用する除去技術がいくつか存在します。また、
モレキュラーシーブや液体CO₂スクラビングを使用する技術もあります。これらは既に
利用可能で、安定しており、比較的実装しやすい実績あるソリューションです。主な問題
は、除去媒体の交換または再生の最適なタイミングを決めることです。交換が早過ぎる
と未使用の媒体を捨てることになり、遅すぎるとシロキサンが除去されず、破損の原因
になります。
当ページからダウンロードできるアプリケーションノートでは、Thermo Scientific Antaris IGSガスアナライザーが、時間のかかるガス採取の代替手段を提供し、埋立地での埋立メタンガスに含まれる有害なシロキサンのリアルタイムモニタリングをいかに実現させるかについて説明しています。
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