このブログシリーズでは最適なドラッグデリバリーシステムのための製剤開発において注目すべき手法のホットメルトエクストルージョン(HME)と二軸スクリューエクストルーダーについて解説していきます。
HMEは「熱で溶かして押し出す」だけの技術ではありません。二軸スクリューエクストルーダー内でAPIをポリマーマトリックス中に非晶質または分子分散状態で保持することを目指し、非晶質固体分散体や制御放出製剤の基盤を作る技術です。
今回は、HMEの基本原理、二軸スクリューエクストルーダーの役割、固体分散体がバイオアベイラビリティ改善に寄与する理由を解説します。
▼こんな方におすすめです!
- HMEの基本原理を短時間で把握したい方
- 非晶質固体分散体の作り方を整理したい方
- 二軸スクリューエクストルーダーの役割を知りたい方
■ 二軸スクリューエクストルーダーによるHMEの基本原理
HME(ホットメルトエクストルージョン)は、溶媒を使わずに、熱的エネルギーと機械的エネルギーを利用して高分子材料を加工するプロセスです。
ポリマーをガラス転移温度(Tg)以上、または適切な溶融・軟化状態にし、APIと賦形剤を混練します。
材料はバレル内をスクリューで搬送され、混合、混練、溶融、圧縮を受けた後、ダイから押し出されます。
この一連の工程により、APIはポリマーマトリックス中に結晶、非晶質、または溶解状態で分散します。
難溶性APIでは、結晶格子エネルギーが溶解の障壁になります。
HMEでAPIを非晶質化し、ポリマーマトリックス内に分散させると、溶出速度や見かけの溶解性を改善できる可能性があります。
さらに、ポリマーはAPIの再結晶化を抑制し、過飽和状態を維持する役割も期待されます。
■ 二軸スクリューエクストルーダーの強み
製薬向けHMEでは、平行・かみ合い・同方向回転の二軸スクリューが適しています。
単軸スクリューと比べて混合性能が高く、スクリュー構成を変えることで滞留時間、せん断力、機械的応力といった混練メカニズムを調整できます。
適切なスクリューや装置の構成と後工程機器の組み合わせにより、材料の融解、APIの分散、脱気、さまざまな形状での押出形成までを一つの連続プロセスの中で設計できます。
小型のモデルであれば、汚染のリスクを避け、オペレーターが高効能APIを安全に処理できるように、アイソレーターやグローブボックスなどの封じ込めソリューション内に装置を配置することもできます。
■ 溶媒フリーとダストフリーの実務メリット
HMEは有機溶媒を使用しないため、残留溶媒、溶媒回収、防爆、廃液処理といった課題を減らせます。
また、溶融体を形成するため、工程からの粉じん発生も抑えやすくなります。
工程がシンプルで再現性が高く、スケールアップしやすいことも、研究段階で得た知見を製造へつなげるうえで重要です。
■ まとめ
HMEは、二軸スクリューエクストルーダーの混合・混練能力を活かし、APIをポリマーマトリックス中に分散させる技術です。非晶質固体分散体化により、難溶性原薬の溶解性やその制御の改善が期待できます。
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