労働安全衛生マネジメントシステム「ISO 45001」とは
日本品質保証機構(JQA)マネジメントシステム部門による認証取得と運用のサポート
日本品質保証機構(JQA)は、1957年の設立以来、公正・中立な第三者適合性評価機関として、日本の産業界を支えてきました。マネジメントシステム部門では、ISO 9001やISO 14001をはじめ、自動車・電気通信・航空宇宙・食品といった業界規格まで幅広い審査を実施しており、その累計審査件数は国内最多の実績を誇ります。「見えない価値を見える証に」をコミュニケーションワードに掲げ、単なる適合性審査にとどまらず、「組織のチカラ」を高める審査を提供することを使命としています。
労働安全衛生マネジメントシステム「ISO 45001」とは
規格の概要と目的
ISO 45001は、組織が労働安全衛生に関するリスクを管理し、そのパフォーマンスを向上させるために要求事項を規定したマネジメントシステム規格です。最高経営層によって承認された労働安全衛生方針を定め、方針管理を行うことで、組織全体で安全衛生に取り組みます。
本規格は、経営管理の基本モデルであるPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを採用しています。
ISO MS規格のHLSテンプレート
ISO 45001は、ISOマネジメントシステム規格の共通構造である「HLSテンプレート」を採用しています。これにより、ISO 9001(品質)やISO 14001(環境)と「4. 組織の状況」から「10. 改善」まで共通の章構成を持っており、複数のマネジメントシステムとの統合運用が容易な構成となっています。
「ISO 45001」が求められる社会的背景と労働災害の現状
労働災害の発生推移
労働災害による死亡者数および休業4日以上の死傷者数は、長期的には減少傾向にあり、死亡者数は過去最少の水準となっています。しかし、休業4日以上の死傷者数は近年増加傾向に転じており、平成14年以降で過去最多(令和2年時点)となりました。

平成24年からは、労働者死傷病報告、死亡災害報告より日本品質保証機構作成
188万人 の方が命を落としています。
労働環境を取り巻く課題
安全衛生環境の確保が一層難しくなっている背景には、以下の外部環境・内部状況の変化があります。
- 外部環境: 高年齢労働者の比率増加、外国人労働者の活用、法令の強化や働き方改革。
- 内部状況: 熟練従業員の退職増加に伴う安全面での技能継承の困難さ、設備の老朽化による労働災害リスクの増加、安全機能の充実に伴う危険状態への感度低下。
労働災害が減らない要因
平成16年、厚生労働省が実施した「大規模製造事業場における安全管理に係わる自主点検」によると、災害が減らない要因として以下が挙げられています。
- 事業場のトップ自らによる率先した安全管理活動の実施が不十分(5.1リーダーシップ)
- 事業場のトップが安全管理に必要な人員・経験や経費に不足感(5.3役割、7.1資源)
- 下請等の協力会社との安全管理の連携や情報交換が不十分(8.1.4調達、7.4コミュニケーション)
- 労使が協力して安全問題を調査審議する場である安全委員会の活動が低調(5.4協議、参加)
- 入社後の定期的な現場労働者への再教育や作業マニュアルの見直しが不十分(7.2力量、8.1運用)
- 設備・作業の危険性の大きさを評価し、災害を防ぐための措置の実施が低調(6.1リスク及び機会)
規格の重要ポイント:リスクアセスメントによる未然防止
リスクアセスメントの定義と重要性
ISO 45001の要求事項における重要ポイントは、「リスクアセスメント」です。
リスクとは「危害の重大さ × 危害の発生の可能性」で定義され、このリスクの大きさを見積もり、受容可能かどうかを評価します。
