近赤外分光装置(NIR)を用いた医薬品ホットメルトエクストルー ジョン(HME)プロセスのモニタリング
溶融押出混練(HME)による連続生産は、製造効率の高さと経済的なメリットから、さまざまな製造業で関心が高まっています。HMEは主に機械的/せん断力を利用した混合プロセスですが、製剤によっては化学反応プロセスを伴うこともあります。HMEでは、医薬品有効成分(API)を熱可塑性ポリマーもしくはその他の結合材と共に、溶融、混錬し、結合させることで独自のポリマー構造を形成します。ポリマーを適切に設計することでAPIとポリマーの架橋構造が生まれ、薬物のバイオアベイラビリティを向上させ、独自のドラッグデリバリープロファイルを実現することができます2,3,4。HMEプロセスではスクリューの構成、回転速度、ゾーンごとの温度設定、滞留時間などの運転パラメーターを正確に制御することで、工程の一貫性と製品品質を確実なものにします。Quality by Design(QbD)による新しい時代の医薬品プロセス開発は、FDAの重要な取り組みの1つです5,6。均一な製品品質と効率的な生産オペレーションの実現に向けた効果的なプロセス制御を実行するためには、全ての重要なプロセスパラメーターを徹底的に理解する必要があります。
フーリエ変換近赤外分光法(FT-NIR)は、インラインプロセスにおける重要な分析ツールの1つであり、FT-NIRと統計的回帰手法を組み合わせることで、ほぼリアルタイムで化学情報を得ることができます。FT-NIRは製造業界のプロセス開発および製造におけるプロセス分析技術(PAT)およびQbDのツールとして、乾燥、混錬、押出などのプロセスのモニタリングや制御に広く用いられています7, 8。FT-NIRはシンプルかつ迅速で非破壊的な手法であり、サンプルの前処理や補整を必要とせず、ほぼ全てのマトリックスの多成分分析が可能です。さらに重要なことは、FTNIRは加工されている材料を直接測定し、分子レベルの科学情報を提供できることです。例えば、処方におけるAPI濃度やAPI賦形剤ポリマーとの相互作用などの情報が得られます。
当ページでダウンロードできるアプリケーションノートでは、HMEプロセスにおけるインラインAPI濃度モニタリングにFT-NIRを使用した事例を紹介し、適切な部分最小二乗(PLS)モデルを導出する際に考慮すべき事項について解説します。さらにHMEプロセスが安定して稼働していることを表す指標として、FT-NIRのデータを用いる有用性についても検討します。
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