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ビギナーのための幾何公差:MMC(最大実体状態)とボーナス公差を3次元で解説

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ポータブル3次元測定器 コラム  / 2024年06月19日 / 

GD&T for beginners: MMC & bonus tolerance, explained in 3D

ビギナーのための幾何公差:MMC(最大実体状態)とボーナス公差を3次元で解説

幾何公差:2次元対3次元

 

<図1>幾何公差:2次元対3次元

 

幾何公差の概念は、最初は理解するのが難しいため、初心者は基本原理を理解するのに非常に苦労します。この難しさの理由の一つは、2次元図面における3次元概念の視覚化です。

 

このブログ記事の目的は、ピン(シャフト)に対するMMC(最大実体状態)の概念を、簡単な例(図1)を用いて3次元的に分析することです。この例では、ASME Y14.5-2009規格の図2.15(33ページ)のケースを3次元で再現し、公差(および誤差)を大きくして分かりやすく視覚化しています。

 

最大実体状態(MMC)と最小実体状態(LMC): 簡単な定義

MMCとは、指定されたサイズの範囲内で、最小の穴または最大のピンを含む要素の状態をいいます。LMCとは、指定されたサイズの範囲内で、最大の穴または最小のピンの要素の状態をいいます。

 

ピンのMMCとLMCのコンセプト

 <図2>ピンのMMCとLMCのコンセプト

 

図2の例では、ピンのMMCは25mm、LMCは15mmを示しています。

 

MMCコンセプトを使う理由

MMCはワーストケースを定義しますが、その場合も部品が規定の公差の範囲内にあるため、ピンと穴の組み立ては保証されます。つまり穴が最小の状態(MMC)で、ピンが最大の状態(同じくMMC)であっても、その部品を組み立てることができます。このように、MMCはクリアランスのある組み合わせが一般的に広く使われています。

 

ボーナス公差のコンセプト

ボーナス公差の説明

<図3>ボーナス公差の説明: ピンのサイズがMMCからLMCに向かうにつれて、そのずれ量に等しいボーナス公差が追加される。ボーナス公差は、実際の要素サイズと要素のMMCとの差に等しい。この場合、ボーナス公差=MMC-LMC=25-15=10となります。

 

相手要素の実際のサイズがMMCより小さい場合、組立のためのクリアランスは広くなります。ピンがMMCよりも小さく、LMCの限界に近い寸法で仕上げられた場合、得られたクリアランスは形状や位置のボーナス公差として使用することができます。この例では<図3>。

 

例1:MMCでのピンの直径

MMCでのピンの直径=25

ボーナス公差=0

MMCでの位置公差=5

MMCコンセプトとボーナス公差は3次元で見るともっと広くなる

 

1つ目ビデオでは、MMCのピンを表す円柱の中心軸が、直径5mmの円柱として定義された位置公差範囲で周っています。

 

 

▼例2:LMCでのピンの直径

LMCでのピンの直径=15

ボーナス公差=MMCのピンの直径-LMCのピンの直径=25-15=10

LMCの位置公差=5(MMCの公差)+10(ボーナス公差)=15

ピンはLMCに到達すると、より大きい位置公差幅を持ちます。

 

次の2つ目のビデオでは、LMCのピンを表す円柱の中心軸が、直径15mmの円柱として定義された位置公差範囲で周っています。今回はボーナス公差が大きいため、LMCでは許容される公差幅がより大きくなっています。

 

 

▼例3:中間の任意のピンの直径

ピンがLMCとMMCの間の任意の直径であると、何が起こるのでしょうか?

ピンの直径=20

ボーナス公差=MMCのピンの直径-ピンの直径=25-20=5

位置公差=5(MMCの公差)+5(ボーナス公差)=10

 

次の3つ目のビデオでは、任意の寸法のピンを表す円柱の中心軸が、直径10mmの円柱として定義された位置公差範囲で周っています。(この例では、ピンの直径は公称値ですが、必ずしもそうである必要はありません)

 

 

幾何公差および検査ワークフローを改善する方法について、詳しくはこちらのウェビナーをご覧ください(英語)。

 

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参考文献

ASME Y 14.5-2009 , Dimensioning and Tolerancing. New York: American Society of Mechanical Engineers.

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