ポリエチレンは性能を高めるために化学的に架橋させることのできる汎用的な樹脂です。架橋ポリエチレン(PEX)は、温水輻射暖房システム、電気ケーブルの絶縁、家庭用水配管によく
用いられています。PEX パイプは、耐用年数25 年、簡単な初期設置、腐食環境での安定性、生物膜生への耐性など、他素材のパイプに勝る多くの利点を持ちます。
PEX はさまざまな技術を用いて高密度ポリエチレンを架橋することにより製造されます。長いポリエチレン鎖の化学的・物理的特徴を変え、お互いに結合させることにより架橋させます。
架橋度は定量することが難しく、一般的に直接計測できません。しかしながら、“ゲル含有量”の計測は比較的簡単で架橋結合と比例しています。この計測により架橋サンプル中の不溶性物質の量がわかります。これは架橋ポリエチレンがさまざまな有機溶媒に比較的溶けにくい一方で無架橋ポリエチレンは容易に溶解するという事実に基づいています。この計測には、トルエン、キシレン、もしくは、デカヒドロナフタレンのような加熱した有機溶媒を使用して、可溶部分と不溶な架橋部分に分離・抽出します。不溶な架橋ポリエチレンが残る割合の測定には、基本の重量分析が用いられます。残念なことに、これらの抽出法はかなりの時間がかかり(最大24 時間)、有害で環境的に危険な有機溶媒を高温で扱うため熟練した技術者が必要となります。
それに引き換え、フーリエ変換近赤外分光法(FT-NIR)は固体試料を直接測定でき、有毒な化学物質の使用や熟練した測定者の必要なく、架橋に関連する分光学的情報を即座に与えてくれます。
当ページでダウンロードできるアプリケーションノートでは、Thermo Scientifi c™
Antaris™ II 近赤外アナライザーを用いて、有機溶媒を使用することなく、ゲル含有量をオンライン分析することで、PEX パイプの架橋度を予測することができる画期的な分析例を紹介しております。
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