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コラム

二軸押出機の基礎② スクリューとバレルの仕組み

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二軸押出機の基礎シリーズでは装置の仕組みや特長、パラメーター設定やその意味、後工程オプションを組み合わせた押出成形について解説していきます。

 

▼こんな方におすすめです!

  • なんとなく使っているけれど、もっと二軸押出機のことを理解したい
  • 装置構成やパラメーターを変更したいけど、どうしたらよいか不安
  • 二軸押出機をもっと使いこなしたい、もっと活用したい

 

今回は二軸押出機の中心的なパーツであるスクリューとバレルの仕組みについて、Process 11パラレル型同方向回転二軸スクリューエクストルーダーを例に紹介します。


Process 11は小型、卓上の二軸エクストルーダーです。

わずか20 g程度の少量のコンパウンディングから、最大2.5 kg/h程度の連続生産も可能です。セグメント式スクリューデザインや、ゾーン毎に設置されたオプションポートや温調機能、多彩な後工程オプションにより、さまざまな材料の混錬、押出成型が可能です。

 

■ スクリューの仕組み

この図はProcess 11の標準的なスクリュー構成です。
この構成では、熱可塑性樹脂に添加剤を加えて混錬することを目的とした設計になっています。

 



スクリューは主に3つの機能を目的に応じて組み合わせた設計になっています。

  • フィード(搬送)ゾーン
    二重らせん構造を持ち、エクストルーダーに投入された材料をダイ方向に向かって運ぶとともに、搬送方向に材料を分配させる役割を担います。
  • ミキシング(混錬)ゾーン
    楕円形の板状のエレメントが隣同士で角度を変えて配置されています。このゾーンでは、材料を滞留させ、せん断応力を与える役割を持ちます。
  • 押出ゾーン
    一重らせん構造を持ち、コンパウンディングされたサンプルに圧力をかけて、特定の形状をしたダイから押し出す役割を持ちます。

スクリューの各ゾーンはそれぞれに機能を持ったスクリューエレメントで構成されています。このエレメントの取付順序や角度を変更することで、目的に合ったスクリューの構成を作ることができます。以下の図は代表的なスクリューエレメントで、このほかにもさまざまな形状のエレメントがあります。

 

 

ミキシングゾーンでは材料にせん断を与えるため、このゾーンの構成が材料の分散性、混錬の品質に重要な要素となります。


以下の図はミキシングエレメントの異なるオフセット角度を示したものです。

 



混錬能力はオフセット角度が大きくなるほど強くなります。
エレメントのオフセット角度、数、位置を変更することで、混錬条件を最適化することができます。

 

スクリューの長さも重要な要素の一つです。
エクストルーダーのスクリュー長さは直径に対する長さの比、L/Dで表されます。
Process 11の場合は径が11 mm、長さが440 mmのため、L/D = 40となります。
L/Dの大きなスクリューは、より多くのエレメントを必要としますが、スクリュー構成の自由度が高く、さまざまな材料に対する混錬条件の最適化が容易になります。

 

■ バレルの仕組み

エクストルーダーのバレルはスクリューが格納される円筒形構造です。
電位差による腐食を防ぐため、スクリューと同じ金属で作られることが基本です。
スクリューに比べると一見シンプルな構造ですが、混錬の品質やエクストルーダーの機能拡張性に大きく影響するパーツで、以下のような技術や機能が求められます。

  • スクリューとのクリアランス(隙間)を一定に保つ高い設計・製作精度
  • 材料に熱エネルギーを与えるための正確で素早い温調機能
  • 耐圧、耐熱、耐食、耐摩耗性能
  • 材料添加(サイドフィード)や脱気(ベント)のための拡張性
  • 分解と洗浄のしやすさ

 



上の図はProcess 11のバレルを分解した様子です。
このように上下に分割できると洗浄が容易になるだけでなく、バレル内での材料の状態を直接観察することができます。

バレルは多数のオプションポート設定できます。また、ポート毎に分割されているゾーンで個別に温調設定ができるため、多様な混錬処方に対応することができます。

 

■ まとめ

エクストルーダーにおけるスクリューとバレルは、混錬と押出成型の品質に直接影響を与えるパーツです。
材料や目的に応じた適切な材質や構成を選択することが重要であり、特に多様なコンパウンディング条件を試すような研究開発に利用する場合は、機能や拡張性も考慮する必要があります。

 

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