【令和8年4月施行】クレーン等の検査範囲を民間へ拡大・監督強化。機械等による労働災害防止の促進
労働安全衛生法等の改正(令和7年法律第33号)により、ボイラーやクレーン等の特定機械等に関連する検査制度が見直されます。民間活力を活用した検査体制の拡充とともに、登録機関に対する監督体制の強化が図られます。
このページでは、改正内容のうち「機械等による労働災害の防止の促進等」について解説します。
どういった状況か
危険な作業を必要とするボイラーやクレーン等の特定機械等については、安全性能を確保するため、製造許可や製造時等の各段階における検査が義務付けられています。
技術の高度化に伴い検査の専門性が求められる中、EU諸国をはじめとする諸外国では、民間検査機関の活用が進んでおり、日本においても更なる行政の効率化や民間活力の活用が課題となっていました。また一方で、技能講習を実施する民間登録機関において、不正に修了証を交付するなどの事案が発生しており、不正防止対策の強化が必要とされていました。
必要なアクション
今回の改正により、民間登録機関が実施できる業務範囲の拡大と、適正な業務実施を担保するための規制強化が行われます。
1. 民間の登録機関が実施できる審査・検査の範囲拡大
特定機械等の安全性を確保した上で、以下の業務について民間の登録機関が実施できるようになります。
- 製造許可申請の審査:特定機械等の構造に係る基準の審査について、民間の登録機関が行えるようになります。
- 製造時等検査の対象拡大:これまで労働局が行っていた「移動式クレーン」及び「ゴンドラ」の製造時等検査についても、民間の登録機関が行えるようになります(既に民間移管済みのボイラー等に加え、範囲が拡大)。
2. 民間の登録機関に対する監督強化
業務の適正な遂行を担保し、不正を防止するため、以下の措置が講じられます。
- 不正への対処強化:登録機関や検査業者に対し、不正への対処や欠格要件を強化するとともに、検査基準への遵守義務を課します。
- 行政処分の整備:適切な登録要件を設定し、要件に適合しなくなった場合の行政処分などの仕組みが整備されます。
関連するリンク
- この記事は、厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要」を基に制作しています。
【令和8年4月改正施行】
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