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法改正、高年齢労働者の安全(エイジフレンドリー)

【令和8年4月施行】高年齢者の労災防止対策が努力義務化

「出稿者アイコン」 製造業のポータルサイト @engineer編集部 2025.10.06・公開
「高年齢労働者のイメージ」

労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)のうち、「高年齢労働者の労働災害防止の推進【労働安全衛生法】」は、令和8年4月1日から事業者の努力義務として施行されます。 近年、休業4日以上の死傷者数は増加しており、その要因として高年齢労働者の労働災害の増加が挙げられています。高年齢労働者の労働災害は、他の世代と比較して発生率が高く、災害が起きた際の休業期間が長くなります。

この改正は、高齢化に伴い増加傾向にある高年齢労働者の労働災害を防止するため、事業者がその特性に配慮した安全衛生対策を講じることを促すものです。 努力義務とされる内容として、国(厚生労働省)が今後、具体的な措置に関する指針を公表することとされており、事業者はその指針を参考にしながら対策を進めることになります。 指針に盛り込まれることが想定される主な措置は、既に厚生労働省が公表している「高年齢労働者の安全と健康確保のためのエイジフレンドリーガイドライン」の内容などを踏まえたものとなると考えられます。

「高年齢労働者」
出典:厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要

施設・設備等の改善(ハード面の対策)

高年齢労働者の身体機能の低下を考慮し、労働災害を防止するための作業環境の整備などが新たに事業者の努力義務となります。今後、以下のような取り組み、改善が必要とされる可能性があります。

対策 具体的な内容 対応する製品・サービス
転倒防止 段差の解消、滑りにくい床材の使用、手すりの設置、階段の改良など 衝撃吸収床材・マット(転倒時の骨折リスクを低減)、滑り止め機能付き作業靴/シューズ、転倒時頭部保護帽(ヘッドギア)、可搬式スロープ、安全手すり
重量物取扱 昇降装置やリフト、パワーアシストスーツなどの導入 パワーアシストスーツ/サポートジャケット(腰や腕の負担軽減)、電動アシスト台車・リフター、バランサー・ホイスト(重量物昇降機)
作業環境の改善 作業場所の明るさの確保(照度調整)、温度・湿度の適切な管理 高演色LED照明(影や眩しさを軽減)、WBGT(暑さ指数)計、スポットクーラー・空調設備、熱中症対策ウェアラブルデバイス

作業管理・作業体制の改善(ソフト面の対策)

高年齢労働者の敏捷性、持久力、筋力の低下といった特性を考慮した作業内容や労働時間の見直しを行います。

対策 具体的な内容 対応する製品・サービス
作業内容の見直し 身体への負担が大きい作業の軽減、作業速度の調整、休憩時間の確保 産業医・産業保健師による作業分析・リスク評価コンサルティング、動作解析システム(作業負荷を定量的に評価)
作業体制の工夫 複数人での作業体制、危険作業の補助者の配置 -
勤務形態の柔軟化 短時間勤務、深夜業の回数の減少など 勤怠管理システム(柔軟なシフト管理・深夜業の自動集計)、人事労務コンサルティング

健康・体力状況の把握と対応

個々の高年齢労働者の健康状態や体力レベルを把握し、それに応じた適切な対応を行います。

対策 具体的な内容 対応する製品・サービス
健康状況の把握 定期的な健康診断の確実な実施、体力チェックの実施、基礎疾患の罹患状況の把握 体力チェックプログラム提供サービス(運動指導士による出張体力測定)、健康管理システム(健診結果・ストレスチェックの一元管理)、フレイルチェックツール、転倒確率チェッカーの使用
個別対応 健康や体力の状況を踏まえ、安全と健康の点で適合する業務への配置転換や、作業負荷の軽減措置 産業医・保健師の選任・契約サービス(健康面からの就業判定・配置意見)、EAP(従業員支援プログラム)

安全衛生教育の実施

高年齢労働者自身や、共に働く管理者・同僚に対して、高年齢者の特性を理解し、安全に配慮した働き方に関する教育を実施します。

事業者は、施行日である令和8年4月1日に向けて、高年齢労働者の安全確保のための製品導入等の計画、予算取りを行い、準備を進めることが重要です。

関連リンク、参考文献

この記事は、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要」(厚生労働省)を基に制作しています。

労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要(厚生労働省)


※努力義務
法令に違反しても直ちに罰則が適用されるわけではありませんが、「実現するように努力しなければならない」という法律上の責務であり、安全配慮義務の観点からも、適切な措置を講じることが強く求められる。

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