【2026年1月】労働安全衛生法・作業環境測定法が改正。ストレスチェック義務化など
何が変わるのか?
多様な人材が安全に働き続けられる職場環境の整備を目的として、「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が公布されました。この改正は、個人事業者、メンタルヘルス、化学物質、機械、高齢労働者という5つの主要な分野にわたる大きな変更を含んでいます。
主な改正点は以下の通りです。
- 個人事業者等に対する安全衛生対策の推進
これまで対象外だった個人事業者等も労働安全衛生法の保護対象・義務の主体として位置づけられます。注文者には混在作業における災害防止対策の強化が、個人事業者自身には安全衛生教育の受講や災害報告などが義務付けられます。 - 職場のメンタルヘルス対策の推進
現在、労働者数50人未満の事業場では努力義務となっているストレスチェックが、全ての事業場で義務化されます。 - 化学物質による健康障害防止対策等の推進
化学物質の危険有害性情報(SDS)の通知義務違反に罰則が設けられます。また、個人ばく露測定が作業環境測定の一つとして法的に位置づけられます。 - 機械等による労働災害の防止の促進
ボイラーやクレーン等の製造許可審査や検査の一部について、民間の登録機関が実施できる範囲が拡大されます。 - 高齢者の労働災害防止の推進
高年齢労働者の労働災害防止に必要な措置の実施が、事業者の努力義務となります。国は具体的な措置に関する指針を公表します。
施行期日は、令和8年4月1日を基本としつつ、項目によって段階的に適用されます。
必要なアクション
この法改正に伴い、事業者や個人事業者は以下の準備や対応が求められます。
全ての事業者
労働者数50人未満の事業者は、ストレスチェックの義務化に備え、実施体制の構築やプライバシー保護を考慮した運用方法の検討が必要です。また、化学物質を取り扱う事業者は、SDSの通知義務違反に罰則が科されることを踏まえ、管理体制を再確認する必要があります。高齢労働者を雇用する事業者は、今後公表される国の指針に基づき、作業環境の改善などに取り組むことが求められます。
注文者・元方事業者
特に建設業、造船業、製造業などで個人事業者に作業を請け負わせる場合、混在作業時の統括管理の対象に個人事業者等が含まれるため、安全管理体制の見直しや、作業間の連絡調整を徹底する必要があります。
個人事業者
危険・有害な業務に就く際の安全衛生教育の受講や、構造規格に適合した機械の使用、定期自主検査の実施などが新たに義務付けられるため、自身の責務を正しく理解し、遵守することが必要です。
関連するリンク
- この記事は、厚生労働省の公開資料を基に制作しています。
- 「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の概要」(厚生労働省)
