SEM-CL:カソードルミネッセンス分析概略
SEM-CL(SEM-Cathodoluminescence:カソードルミネッセンス分析)は材料の発光性再結合の様子を電子顕微鏡レベルの空間分解能で評価可能な手法です。光学的特性や半導体・絶縁体の電気的物性と密接に関連した情報を得ることができます。
「超高感度」と称していますが、弊社の装置はCL専用に開発された特殊な光学系を有しているためこのように表現しています。一般的に用いられている放物面鏡型の集光光学系を持つCL装置と比べて桁違いに集光効率が高く、データの質・表現力ともに従来の装置より大きく進歩しています。(液体He冷却測定がルーチンで可能ですので「極低温」とも称しています)
SEM-CLでは電子顕微鏡中での電子線照射下で材料からの発生した紫外・可視・赤外領域の発光を捉えます。照射電子線のエネルギーで固体価電子帯中の電子が導電帯に励起されることにより、電子・ホールのキャリアが生成します。
これらのキャリア(の一部)は発光を伴い再結合します。その発光を捉えるのがCL分析です。発光性の再結合には①バンド間再結合、②トラップ準位とバンド間の再結合、③準位間の再結合などの経路が存在します。CLの強度はトラップの密度についての情報を含み、CLの発光波長はトラップ準位の種類についての情報を含むと考えることができます。
対象分野
- 半導体
- エレクトロニクス
- 自動車
- 航空宇宙
対象試料の事例
- Ⅲ-Ⅴ・GaN系基板・ デバイスの発光分析
- Si・SiC・デバイスの欠陥・転移・不純物分析
- 誘電体:電子デバイス・キャパシタの結晶粒界・酸素欠損分析
- 炭素材料(ダイヤモンド、カーボンなど)の欠陥・不純物分析
- 蛍光体分析
原理/特徴
原理:SEM-CL
従来のCL測定装置は、SEMに集光用の放物面鏡などの分光測定オプションを取り付けたものでした。EAG Laboratoriesが所有する装置はCL測定専用装置になります。CL分析に最適化された電子光学系と集光光学系を持っているため、従来装置よりも桁違いに集光効率が高くなっています。
他に類を見ない明るい光学系であり、ハイパースペクトルマッピングを高速に行うことにより、試料からの情報を余すことなく収集することができます。液体ヘリウム温度で試料冷却した状態でのマッピング測定も可能です。
ハイパースペクトルマッピングとは、測定点1点ごとにCLスペクトルデータを取得しながらマッピングを行う測定です。特徴的な分布を持つ波長をマッピングデータから抽出する、発光波長の微妙な変化の分布から組成揺らぎを検出する、発光スペクトルの半値幅変化をマッピングすることにより結晶歪やドーパント濃度の分布を可視化するといった、多様な解析を測定終了後のデータ処理の中で行うことができます。
従来型装置でハイパースペクトルマッピング測定を行うと1視野の測定で1時間以上の長時間測定が必要でしたが、新型装置では集光効率が高く分単位での高速測定が可能です。これにより、試料をサーベイしながら特徴点を漏らさずに捕捉することができます。
- CL測定に最適化された電子光学系・集光光学系デザイン
- 高速測定:ハイパースペクトルマッピング
- 極低温測定対応:液体He冷却測定 最大10K(ケルビン)
- マッピング対応:スペクトル・ピーク波長・半値幅など
光路構成:CL測定に最適化されたEAG Laboratoriesの電子光学・集光光学系
分析事例
SEM-CL:GaN基板の発光分析
ハイパースペクトルマッピングを実施。測定後のデータ処理でバンド端発光の分布(青)を作成し貫通転位(TD)の分布を分析。
その他の特徴的な発光波長の分布(緑、赤)から複数種の基底面積層欠陥(BSF)の分布が判明。
関連のある分析手法
- TEM/STEM
- SEM
- XRD
- TEM/STEM-EDS/EELS
- SEM-EDS
- Raman
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