お客様ご提供の表面処理の異なる4種類の試験サンプルA,B,C,Dについてのエレクトロケミカルマイグレーション試験を弊社ラボにて行いましたのでご紹介します。
■サンプル概要
(1)試験サンプルA(5個) |
表面処理していないくし形パターン基板。(リファレンス) |
(2)試験サンプルB(5個) |
試験サンプルAに新開発(開発後期)の表面処理を施している。 |
(3)試験サンプルC(5個) |
試験サンプルAに新開発(開発初期)の表面処理を施している。 |
(4)試験サンプルD(5個) |
試験サンプルAに従来の表面処理を施している。 |
■試験条件
試験環境 |
85℃ 85% |
試験電圧 |
50V(一定) |
試験時間 |
1000H |
NG検出レベル |
1MΩ |
■計測データ
(1)サンプルA(表面処理なし)
4つのサンプルにて200GΩ以上の抵抗値を安定して維持しNGは検出されなかった。
(2)サンプルB
新開発(開発後期)の表面処理。
2つのサンプルで絶縁劣化が見られたがその他のサンプルは全時間にわたり良好な絶縁性能を維持した。
(3)サンプルC
新開発(開発初期)の表面処理。
多数のサンプルで絶縁劣化がみられた。
(4)サンプルD
従来の表面処理。
全体的に絶縁劣化の兆候が少なく安定していた。ただし、絶縁抵抗値の大きさは新開発品に劣る。
■試験結果
サンプルの種類 |
サンプル説明 |
絶縁性能 |
耐マイグレーション性能 |
仕上がりの均一性 |
(1)試験サンプルA |
リファレンス |
◎(200GΩ以上) |
◎ |
◎ |
(2)試験サンプルB |
開発後期 |
◎(200GΩ以上) |
○ |
△ |
(3)試験サンプルC |
開発初期 |
◎(200GΩ以上) |
× |
× |
(4)試験サンプルD |
従来品 |
○(10GΩ以上) |
○ |
○ |
新開発の表面処理は従来の処理と比較して絶縁抵抗値が高く、表面処理無しの状態と比較しても遜色の無い高抵抗値を示しました。
開発後期の表面処理は初期に比べて耐マイグレーション性能のバラつきが改善されており信頼性が向上していることが確認できました。
従来の表面処理は絶縁抵抗値そのものは低いものの信頼性が高い結果となりました。
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■本事例に見るJ-RASの受託試験のアドバンテージ
以下の特長によりお客様に大変ご満足頂ける試験結果となりました。
格段にノイズに強く安定した高抵抗値の計測データ
リファレンスの櫛形パターンとの絶縁性能の比較が容易に行え、それぞれの表面処理が与える影響が把握できました。
単なる絶縁劣化についてのOK、NGの結果以上に開発検証に役立つデータが得られました。
★従来のテスターではノイズの影響や分解能などの問題で高抵抗領域での差異が把握できない事があります。
瞬間的な絶縁劣化を逃さない高速サンプリング処理
リークタッチ現象による一時的な絶縁劣化を多数捕らえて信頼性の高い評価結果が得られました。
本試験では6つのサンプルでNGレベル以下の抵抗値を検出しましたがそのうちNGレベルを下回った時間が最小であったものは約200msecでした。
★スキャン処理やサンプリング速度の問題で計測速度が遅いテスターでは短時間の絶縁劣化が検出できない事があります。
【計測データはお客様のご了承を頂いた上掲載させて頂いております】
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