■概要
電気二重層キャパシタや二次電池の電解液として、水溶液は電気化学的特性と安全性において、非水溶媒より遥かに優れています。
しかしこれまで、水系の電解液は電位窓(水の分解電位)が狭く、鉛蓄電池の2.0 V程度が上限でした。
そのため、水系蓄電デバイスは3 V以上の電位窓をもつ非水溶媒系キャパシタに太刀打ちできませんでした。
クオルテックでは、過塩素酸塩を飽和まで水に溶解させた飽和過塩素酸塩水溶液において、水溶液の電位窓が3 V程度まで広がることを世界で初めて見出しました。
上記より、高濃度の水系電解液はこれまでの水系電解液より高い印加電圧が可能となる為、水系蓄電デバイスの発展に寄与することが期待されます。
■高濃度過塩素塩電解液の特性
図1. 飽和過塩素酸ナトリウム電解液における、電解液の温度と導電率の関係
図2. 種々のアルカリおよびアルカリ土類金属の過塩素酸塩を飽和まで水に溶解させた水溶液の電位窓、作用極:ガラス状カーボン、対極:白金、参照極:Ag/AgCl、掃引速度:1 mV/s、電解液温度:25℃
1) H. Tomiyasu, H. Shikata, K. Takao, N. Asanuma, S.Taruta, and Y.Y. Park, Sci. Rep., doi:10.1038/srep45048 (2017).
2) Y.Y. Park, H. Tomiyasu, H. Atarashi, Y. Sugibayashi,M. Saito, and N. Asanuma, Electrochemistry, 88, 99–106 (2020).
3) X. Bu, L. Su, Q. Dou, S. Lei, and X. Yan, J. Mater.Chem. A, 7, 7541-7547 (2019) .
■高濃度電解液の特徴
・電位窓が広い
・水系なので、発火および引火しない
・高濃度においても有機系より伝導率が1-2桁程度高い
・材料費が安い
・取扱いが容易
■電気二重層キャパシタへの応用
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